Arpeggio
アルペッジョ
分散和音、和音の各音を順にならす奏法
イタリア語でハープをアルパ (arpa) と言う。
そのアルパから「ハープを弾く」と言う原形動詞アルペッジャーレ (arpeggiare) が生まれた。
アルペッジョはその名詞形なので「ハープのように弾かれた」と言う意味になる。
演奏の特徴は和音を同時にジャーンと弾くのではなく、1音ずつ分けて演奏する。(分散和音)
ハープ以外ではギター、リラ、竪琴などの形を想像して音のイメージを持つと理解しやすい。
アルペッジョから新しい楽器が生まれた。
今を使われないが1823年にウィーンで「アルペッジョーネ」と言う弦楽器が生まれた。
大きさはチェロほどで、6本の弦を持っており外観はギターに似ている。
生まれてすぐに使われなくなってしまったが、1824年、シューベルトが「アルペッジョーネとピアノのためのソナタ」を残し、今でも世界中で親しまれている。
現在はアルペッジョーネに代わってチェロかヴァイオリンで演奏されている。
リスト 3つの演奏会用練習曲より 「ため息」
Da capo
ダ・カーポ
最初から
Da + Capo と言う形の言葉。
Da は英語の From と同じで「~から」と言う意味。
Capo は「頭、先端、岬」などを意味する言葉。
文字通り「始めに戻る」と言う意味になる。
「レオナルド・ダ・ヴィンチ」は「ヴィンチ村からやってきたレオナルド」と言う意味。
昔はイタリアでも日本同様、姓を持たなかった。
ちなみに、曲の終わりを意味するコーダ (Coda) は頭と反対の位置にある「しっぽ」の事。
- この話、カーポもコーダもなくてつまんない。 → 話に中身がない。(頭もしっぽもない。)
カーポは「トップ」と言う意味もある。
会社のカーポと言えば社長のことである。
南アフリカの希望岬はチッタ・デル・カーポ (Citta del Capo) と言う。
Citta は町、都市という意味なので「岬の町、先端の町」と言う意味。
ショパン ポロネーズ ト短調 遺作
Portamento
ポルタメント
声や弦楽器などで、ある程度離れた2音間を、跳躍的でなく、非常に滑らかに演奏する方法
語源は「運ぶ、届ける」を意味するポルターレ (portare) 。
従って、「音をひとつひとつていねいに運ぶ」と言うようなニュアンスがある。
イタリアの靴屋やブティックでは「いくつのサイズをポルターレされていますか?」と聞かれたら「いくつのサイズを身につけていますか?」と言う意味で日常的に使われる。
かつて「ポルタメント」という名詞は、「運ぶこと」「運ばれたもの」を意味していたが、現在のイタリアでは「人の態度」「表情」「動いているときの姿」「振る舞い」などを表すようになっている。
本来の意味「運ぶ」というニュアンスは音楽の世界のみで残っている。
反して、「運ぶ」を意味する動詞ポルターレは現在も生きている。
ポルタメントに関する大切な格言
Tutte le strade portano a Roma.
すべての道路がローマに運ばれる → すべての道はローマに通ず
Pizzicato
ピッツィカート
弦を指ではじく弦楽器奏法
ピッツィカートは弦楽器の弦を指ではじいて弾く奏法。
昔はギターやリュートもオーケストラの一員だったが姿を消していった。
そのサウンドを弦楽器のピッツィカートが代用するようになった。
ピッツィカートの原形動詞はピッツィカーレ (pizzicare) で「親指と人差し指でつまんで話すこと」を意味する。
- 鳥が果実の甘い部分を突っつく → 実がピッツィカートされた
- 蚊に刺される → 蚊がピッツィカートした
他の意味
- 人を怒らせること
- 炭酸飲料を飲んだときの泡によって起きるシュワーッとする刺激
- セーターのチクチク感
ヨハン・シュトラウス ピッツィカート・ポルカ
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