音楽用語のはなし

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音量

Crescendo / Decrescendo

クレシェンド、デクレシェンド

Crescendo だんだん強く(成長する)
Decrescendo だんだん弱く

クレシェンドはイタリアの日常会話では人間や動植物などが自然に生長していく様子を表すときに使われる。

もとの動詞は「成長する」「大きくなる」「増える」と言う意味の動詞クレーシェレ (crescere) 。
これはラテン語の「創造する」と言う意味のクレアーレ (creare) 、またこれと同じ語幹クレ (cre) を持つラテン語クレーシェレ (crescere) から生まれた。
英語のクリエーション (creation) 「創造」と言う言葉もクレアーレを語源としている。

神が創造したものが育って成長する姿をイメージするとよい。
そのほか、「育てる」「昇進する」などの意味もある。

  • 税金が増えていくのもクレシェンド
  • 夏に向かうと日が長くなる → 明るい日差しがクレシェンド
  • インテリジェンス、美しさなどが増していくのもクレシェンド

デクレシェンドはクレシェンドの逆の意味。
「下に」と言う意味の接頭辞「de」が付いている。
従って「下に増える、下に成長する」つまり「減少する、小さくなる」と言う意味。

Diminuendo

ディミヌエンド

だんだん弱く

原形動詞ディミヌイーレ (diminuire) は「小さくする」「弱める」「減らす」と言う意味を持つ言葉。
と同時に「価値を下げる」「周波数を下げる」「値段を下げる」と言う意味もある。

語源のラテン語はデミヌエーレ (deminuere) 。
強調を意味する接頭辞 de + minuere の形である。
ミヌエーれの意味は「小さくする」、ここからさらにミーヌス (minus) と言う言葉が生まれているが英語のマイナスと同じ綴りである。

ディミヌエンドの「ミヌ」は「小さい」という意味。
この仲間としては「ミニ」「メニ」「メヌ」などがある。
例としてはミニスカート、ミニカーやメニュー(献立)。
「メヌエット」という舞踏のスタイルも同様で最初の「メヌ」は「小さい」を意味している。
「小さな歩幅で踊る舞踏」がメヌエットである。

ドビュッシー アラベスク 第1番

Forzato

フォルツァート

その音を特に強く forzando

フォルツァートは「大きな力を加える」と言う意味の動詞フォルツァーレ (forzare) から生まれた。
それは本人の意志でなく、強要・強制された状態を指しているので、ある意味では不自然な状態。

  • フォルツァートの欠席 → 身内の不幸や事故で会議に欠席
  • フォルツァートな車両移動 → 違法駐車された車両が強制的にレッカー移動

音楽では、この「強制された強い力が働く」用すすを表現したい。
無理に力が加えられているのでどこかいびつな感じが生まれる。
但し、同じフォルツァ (forza = 力) と言う言葉が含まれているスフォルツァートやリンフォルツァートと比べるとフォルツァートはそれほど強い強制力を持たない。

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Sforzato

スフォルツァート

その音だけ特に強く sforzando と同義語

スフォルツァートはフォルツァートに強調の「s」がついた言葉。
フォルツァートよりも強い力がかかる。
無理なりに強い力を加えられたことによって、前の状態から変化してしまったことを指す。

  • 泥棒に入られた状態 → 窓やドアがスフォルツァートされた
  • 嫌いな人と一緒にいて作り笑いする → スフォルツァートされた笑い

また、重い病気の子どもを助けるために看護する親が頑張ろうとする気持ちもスフォルツァート。
「自分の持つ力を精一杯出す」という意識的な行為がスフォルツァート。

音楽上の表現においても、より力のこもった、あるいは精神的に重い表現が要求される。

ベートーヴェン ピアノソナタ第23番 「熱情」 作品57

Rinforzato

リンフォルツァート

その音を急に強く

フォルツァート、スフォルツァートより強度が増した表現がリンフォルツァート。
何かによって補強・強化され、より強固にしっかりと安定した状態になる事。
その語感の根底には、「ある機能を回復させ、元の状態に戻す」という意味が流れている。

  • 古い住宅の強度を増す
  • ピアノを置く部屋には床のリンフォルツァートが必要
  • 子供服の肘や膝に出来た穴につけるアップリケもリンフォルツァート
  • トレーニングに励み、筋力強化を目指すスポーツ選手 → 筋肉をリンフォルツァート

演奏上でのスフォルツァートとの明確な違いは、スフォルツァートが「音ひとつに作用する」のに対して、リンフォルツァートは「ひとつのフレーズ全体に作用する」のがポイント。

リスト 2つの伝説より 「波の上を歩くパウラの聖フランソワ」

Con forza

コン・フォルツァ

fonza 強さ、力 con forza 力強く

Con は英語の with と同じ意味。
フォルツァは「力」「強さ」を意味する。
フォルツァートの名詞形がフォルツァ。

フォルツァは強弱記号として頻繁に出てくるフォルテから生まれた言葉。
語源となったラテン語のフォルテ (forte) の複数形である、フォルティス (fortis) からフォルティア (fortia) と言う言葉が生まれた。
従ってフォルテをたくさん含んだのがフォルツァと言うことになる。

イメージとしては、鍛え抜かれた肉体美、身体的な逞しさがこの言葉の底辺にある。

  • 友人に励ましの言葉「頑張れ!!」と言う → 「フォルツァ!!」

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