音楽用語のはなし

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Slentando

ズレンタンド

だんだん遅く、だんだんレントに

Slentand = S + lent + ando
ここで「S = 強調を表す接頭語」、「lent = レント」、「ando = 現在進行形(英語:ing)」
原型動詞のズレンターレ (srentare) には「ゆるめる」、「楽な雰囲気を作る」と言う意味がある。

ショパン スケルツォ 第2番 作品31

Adagio

アダージョ

ゆるやかに、遅く(アンダンテのラルゴの仲間)

Adagio = ad + agio
ad (アドゥ)は「~のように」
agio (アージョ)は「ゆとり」、「くつろぎ」、「余裕」

「ゆったりとした遅さ」に加えて「気をつけて進む」と言う意味がある。
「注意深く慎重に置く」と言う意味のアダジァーレ (adagiare) と言う動詞もアダージョから来ている。
遅さのみでなく量を意味している場合がある。

アダージョとレントに関してはイタリアの辞典でも位置づけがまちまち。
傾向としては「レントの方がアダージョよりも遅い」とする辞典が多い。

  • 子どもたちが急いで食べているときに「アダージョ、アダージョ!!」と注意する。
    「食べ過ぎないように、ゆっくり食べなさい。」
  • ヘビースモーカーに「」「アダージョ、アダージョ!!」と注意する。
    「吸いすぎないように。」と量を注意する。「ゆっくり吸いなさい。」ではない。
  • 登山者に「アダージョ、アダージョ!!」と注意する。
    「速くならないように注意して、ゆっくりと歩きなさい。」

アルビノ―二 アダージョ
アダージョ ト短調は、レモ・ジャゾットが作曲し、1958年に初めて出版した作品で、弦楽合奏とオルガンのための楽曲。弦楽合奏のみでも演奏される。

Stretto / Stringendo(省略形 String.)

ストゥレット/ストゥリンジェンド

だんだん速く、緊張感を高めて/だんだん速く、だんだんせきこんで

Stretto は何かに締めつけられてきつくなった状態。(ラルゴと反対。)

Stringendo = String(ere) + endo
ストリンジェレ (Stringere) は動詞で「ぎゅっと硬く締め付ける。」、「絞り込む。」の意味。
endo は現在進行形。
従って、「だんだん締めつけながら」と言う意味となる。

音楽では、連続する音の間隔が締めつけられ、幅が狭くなる。
ストリンジェンド=徐々にテンポが速くなり、次第に緊張感が高まる。
ストゥレット=追い込まれ緊張感が高まって速くなっている状態。

  • 席が満席でストゥレット。
  • 締め切りが迫ると「時間が私をストゥレット。」
  • 深い友情で結ばれている。「あいつと俺はストゥレットだ。」
  • 歯を食いしばる。「歯をストゥレット。」
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Andante

アンダンテ

ほどよくゆっくりと、歩くように(アレグレットとアダージョの中間の速さ)

アンダンテは動詞アンダーレ (andare) から生まれた。
これは英語の go(行く)にあたるが、正確に言うと move(移動する)と言う感覚。
なので、「歩く速さ」と言う具体的な速度感覚ではない。
アンダンテは速くも遅くもなく、前に進む感覚。

日本では洋楽事始めの明治時代、政府が「理想的な音楽の国」としたのはドイツ。
ドイツでは「歩く速さ」とされていたので、これが日本にも定着した。

アンダンテには「良くも悪くもない」、「普通の」、「中くらいの」、「まあまあの」と言う表現にも使われる。
日本では「平々凡々」、「良くも悪くもない」はネガティブだが、イタリア人にとって「普通」は決して悪いイメージではない。

アンダンティーノはアンダンテをどのようにとらえるかにより解釈が変わる問題がある。
「-ino」は縮小形、つまり「アンダンテを小さく」である。
アンダンテを速めにとらえる → 「速さが少なくなる」=アンダンテより遅くなる。
アンダンテを遅めにとらえる → 「遅さが少なくなる」=アンダンテより速くなる。
正解は本家イタリアでもはっきりしない。
辞書にも「アンダンティーノは場合によって、アンダンテより速くなったり遅くなったりする」と書かれている。

  • アンダンテな人 正確は強くも弱くもなく穏やかでバランスが取れ、誰とでもうまくやっていける。
  • アンダンテな者 まあまあ、イケル。特別ではないけれど。

ガルッピ ピアノソナタ 第1番「エレナ」第1楽章

Moderato

中ぐらいの速さ

(Allegro と Andante の中間 )

モデラートは「中庸」であるが、「分別、思慮が働いている。」
抑制され、均整の取れた感覚のことを言う。
それぞれにマッチした、ほどよい状態。

「モデラートに食べて飲んで飲んで」 → 「食べ過ぎないように加減して食事しなさい。」
「モデラートな風」 → 「強すぎず、弱すぎず、心地よい風」

音楽的には「まさに程よい、まさにちょうど良い」と言う感覚。

ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 作品18 第1楽章

Acceletando

アッチェレランド

だんだん速く

アッチェレランドはリタルダンドの正反対。
「一定のペースで速度を上げる。」と言うニュアンスがある。
加速の幅が一定で自然に加速されていく感覚。

accele = アクセル
アクセルを英語では accelerator (アクセラレーター)
イタリア語では acceleratoe (アッチェレラトーレ)

アッチェレランドの語源はアッチェレーラーレ (accelerare) 。

  • 心臓の鼓動が速くなる。
  • 1週間かかる仕事を短縮して3日間で終える。

リスト ハンガリア狂詩曲 第2番

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