監督 新藤兼人
製作 新藤次郎、渡辺利三、宮永大輔
プロデューサー 新藤次郎
ライン・プロデューサー 岩谷浩
脚本 新藤兼人
原作 新藤兼人
撮影 林雅彦
美術 金藤浩一
照明 山下博、永田英則
音楽 林光
録音 尾崎聡
編集 渡辺行夫
出演
豊川悦司 (松山啓太)
大竹しのぶ (森川友子)
六平直政 (森川定造)
大杉漣 (泉屋吉五郎)
柄本明 (森川勇吉)
倍賞美津子 (森川チヨ)
津川雅彦 (利ヱ門)
大地泰仁 (森川三平)
川上麻衣子 (松山美江)
絵沢萠子 (利ヱ門の女房)
麿赤兒 (和尚)
渡辺大 (下士官)
鈴木大介 (ギター弾き)
はじめて、シネマイーラへ出かける。
観たい映画がいっぱいだったが、今日は「一枚のハガキ」を観る。
ギタリスト鈴木大介さんが役者として出演していた。
音楽を担当しているのかと思ったのだが、役者出演していてビックリ。
しかも、エンドロールにも役者の中に同列で「鈴木大介」と・・・。
もちろん、音楽の中のギターは鈴木大介さんが演奏している。
二重奏部分もあったのだが、もう一人は村治奏一さんなのだそうである。(鈴木大介さんのプログより)
鈴木大介さんのギターの音はやはり武満徹さんを彷彿させる。
音楽は林光さんが担当なのであるが、なんとなく武満徹さんが浮かんできてしまう。
大好きな演奏家である。
戦争末期に召集された100人の中年兵は、上官がくじを引いて決めた戦地にそれぞれ赴任することになっていた。
クジ引きが行われた夜、松山啓太(豊川悦司)は仲間の兵士、森川定造(六平直政)から妻・友子(大竹しのぶ)より送られてきたという一枚のハガキを手渡される。
「今日はお祭りですがあなたがいらっしゃらないので何の風情もありません。
友子」検閲が厳しくハガキの返事が出せない定造は、フィリピンへの赴任が決まり、生きて帰って来られないことを覚悟し、宝塚へ赴任する啓太にもし生き残ったらハガキを持って定造の家を訪ね、そのハガキを読んだことを伝えてくれと依頼する。
戦争が終わり100人いた兵士のうち6人が生き残った。
その中の一人、啓太が故郷に帰ると、待っている者は誰もおらず、家の中は空っぽだった。
啓太が戦死したという噂が流れ、恋人同士になってしまった妻と啓太の父親は、啓太が生きて帰ってくるとわかり二人で出奔したのだった。
生きる気力を失い、毎日を無為に過していた啓太はある日、荷物の中に定造から託されたハガキを見つける。
一方、夫を亡くした友子は悲しみに浸る間もなく、舅姑から自分たちは年老いて働けないのでこのまま一緒に暮らしてほしいと頼まれる。
その上、村の習わしで長男が死んだら次男が後継ぎとなることが決められており、友子には次男の三平(大地泰仁)と結婚をしてほしいという。
他に身寄りのない友子は、愛する夫との幸せな人生を奪った戦争を恨みながらも、定造の家族と生きていくことを承諾する。
ささやかな儀式で夫婦となった友子と三平だったが、しばらくすると三平も戦争に招集され戦死。
その後、舅と姑が立て続けに死に、ひとり残された友子は定造の家族が唯一残した古い家屋と共に朽ち果てようとしていた。
そんなある日、ハガキを持った啓太が訪ねてくる。
クジ運だけで自分が生き残ったことに罪悪感を感じる啓太と、家族も、女としての幸せな人生も、何もかも失ってしまった友子。
戦争に翻弄されたすべてを奪われた二人が選んだ再生への道とは・・・。
この「今日はお祭りですが、あなたがいらっしゃらないので、何の風情もありません。友子」と言う文章になぜか惹かれる。
大竹しのぶさんは、「やはり役者なのだなぁ。」と感じる。
役になりきるから役者さんなのだろうが、大竹しのぶさん以外のすべての方も役者である。
もちろん、鈴木大介さんもね!!
いい、映画でした。
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