昔から好きなジョン様のアルバム、日本では「愛のロマンス」のタイトルなんですが、日本以外では「Travelling」と言う名で発売されている(のかな?)みたいです


バッハのアレンジだったり、スタンリー・マイヤーズのオリジナルだったりいい曲目白押し!!
1曲目の「All at Sea Minor」の出だし「ソラシドレミbファソ」からもうコーフン状態だったのを思い出します
耳コピしましたね~途中まで (¯―¯٥)
3曲めの「フロム・ザ・トップ」のエンディングも耳コピしましたね~
B面(若い子はわからないよね?)1曲目の「トラヴェリング」のアレンジの楽しさったらもうたまらん!!
B面3曲目の「J・S・B (パディヌリ)」もロックですね~かっこよ!!
収録曲はこんな感じです
- シー・マイナーで JSバッハ ~ S・マイヤーズ編
- ポートレート S・マイヤーズ
- フロム・ザ・トップ J・S・バッハー ~ S・マイヤーズ編
- 浮浪者 S・マイヤーズ
- 羊は安らかに草を喰まん J・S・バッハ ~ R・ハーヴェイ
- トラヴェリング J・S・バッハ ~ S・マイヤーズ & F・モンクマン編
- 川の神 S・マイヤーズ
- J・S・B J・S・バッハ ~ S・マイヤーズ編
- 愛のロマンス・ (禁じられた遊びより) スペイン伝承曲 ~ S・マイヤーズ編
- G線上のアリア J・S・バッハ ~ S・マイヤーズ編
まぁ、とにかくカッコいいやら、美しいやら、いい曲ばかりのアルバムですが、いつも通り濱田滋郎さんのライナー解説です
ジョンがうたいあげる遊びのたのしさ
つい先頃、日本のクランク・ギター専門誌が「ひいきのギタリスト」についてアンケートをつのった。結果はジョン・ウィリアムスという答えが群を抜き、プリーム、セゴビア、イエペス以下をおさえて第1位を獲得した。
これはたぶん日本に限ったことではあるまい。今や彼は“ギターの貴公子”の時代を過ぎて“ギターの王者”と目されるようになったのだ。たしかに、彼以上に的確なテクニックを持ち、しかも紡ぎ出す音符の一つひとつに洗練された音楽的美感を宿らせているギダリストは存在しないにちがいない。
1941年オーストラリアのメルボルンに生まれた彼が、「神がその肩に手を置いたのだ。ギターのプリンスが音楽の世界に到着した…」 というセゴビアの名高い賛辞をかざしながらウィグモア・ホール(ロンドン」にデビューしたのは1958年のことだった。それからしばらくのあいだ、若きジョンは巨匠セゴビアの愛弟子として、外貌の上でもまた演奏ぶりからも、端正な貴公子そのものという印象を世間に与えながら成長した。
しかし、ジョンのうちには、“現代”ということにきわめて敏感な、言ってみれば当り前の青年らしい一面もまたゆたかに秘められていた。巨匠の秘蔵弟子という殻を彼がみずから積極的に破りはじめたのは、1960年代も後半に入った頃であったろう。1971年、たしか3回目の来日をしたジョンが、とっくりセーターにブーツという姿で演奏会の舞台に現われた時の印象を、はっきりご記憶のファンも多かろう。その頃の彼は、初々しく端麗だがやや線の細い初期のスタイルからすでにのがれ、時としてじゅうぶんに大胆で骨格の太い、男性的な演奏家へと転身を遂げつつあった。その後ションはしばらく日本を訪れていないが、その間に、私たちファンの既成概念を小気味よく打破るようなニュースが彼についていろいろと伝わってきた
先輩ブリームとの2重奏をはじめ、イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)など他の器楽畑の大物アーティストとの積極的な協演がまずひとつ、師のセゴビアがあえて背を向けている、前衛的現代音楽へのさかんな意欲がまたひとつ、そしてさらに私たちを驚かせたのは、ジョンが示したポップ・ミュージックへの接近だった。たとえば、クレオ・レーンの歌に喜んで伴奏をする。それどころか、ジャズ・ミュージシャン、ポピュラー・ミュージシャンと共演し、みずからエレギ・ギターも手にとってみる。ロンドンの街角でフラメンコ・ギターをひいた、というのも作り話ではないらしい。
思うにジョンは、従来のクラシックギタリストが(一種のコンプレックスも手伝って)むりに自分を押し込めていた“タキシードをつけた厳粛なる音楽”の世界には、たまらなくなっだものであろう、音楽とは、もっと自由な、歓びと楽しみの世界であるべきだ…こんにちの彼がおそらくそのような確信を抱いていることは、昨今の言動からはっきりとうかがえる。
1978年1月、ロンドンのエア・ステューディオズで録音されたこのレコードには「遊びの音楽もまた大切じゃないか」というジョンの問いかけが一杯に盛られている(言っておくが、ジョンはその一方の路線として“まじめな”演奏活動やレコーディングも、非の打ちどころない立派さで行ないつづけている。だから文句もつけようがない…)。アルバムのもっとも強力な“共謀者”はロンドン・ボップス界に活躍する俊英作曲家・編曲家のスタンリー・マイヤーズで、ほとんどの曲のアレンジをこの人が受持っている。マイヤーズ自作の3曲と伝承の1曲を除いて、あとの6曲にヨハン・セバスティアン・パッパの楽曲が選ばれたのは適切だった。バッハの“ポップ化”は今となってはめずらしくないが、主人公がジョン・ウィリアムスともなれば、大いにあらたな興味が湧く。なにしろこれらの6曲はジョンが初めて手がけた作品ばかり、つまりソロ用に編曲するのは困難なため、これまでは演奏を考えなかった曲ばかりなのだから。
従来のジョン・ファンには、彼と一緒に、ここで大いにくつろぎ楽しんで頂こう。ふだんクラシック・ギターをあまり聴かないポップス・ファンには、このビューティフルな音色と技巧の冴えを耳にして、なにかを発見して頂くとしよう。双方の効能を考え合わせるとなかなかもって隅におけない・アルバムの登場である。
この録音への参加メンバーは、つぎのとおりになっている。
◆スパニッシュ (クラシック)・ギター&エレクトリック・ギター(ただし、ほんの少々) – ジョン・ウィリアムス
◆(漠然と)ギタ – ヴィック・フリック、レス・サッチャー、ローレンス・ジュパー
◆バス・ギタ – ハービー・フラワーズ
◆ドラムス – バリー・モーガン、ハロルド・フィッシャー、スチュワート・エリオット
◆パン・パイブ – エードリアン・プレット
◆リコーダー – リチャード・ハーヴェイ
◆キーボード – フランシス・モンクマン
◆録音技師 – マイケル・ステヴルー
◆プロデューサー – スタンリー・マイヤーズ
――――以上のうち、おもしろいのはB面②で活躍するパン・パイブ。 このごろの民族音楽ブームで注目されたパンの苗は世界中にいろいろと種類があるが、ここで使われているのは、ルーマニアの「ナイ」 であるような気がする。
曲目について
第1面
- シー・マイナーで (J・S・バッハ ~ S・マイヤーズ編)
《平均律クラヴィア曲集》 第1巻(上巻)から、前奏曲第2番ハ短調。途中ダ・カーポが入っているほかはじゅうぶん原曲に忠実に(?)な演奏だ。絶え間なくつづく音型から引いては返す波を連想したのだろう、「All at Sea Minor」と名づけられている。これは同時に「C-minor」のもじり…などとつけ加えるのは蛇足もいいところだ。
(2’39”) - ポートレート (S・マイヤーズ)
スタンリー・マイヤーズのオリジナル。この人はなかなかのロマンティストであるらしい。お聴きのみなさんそれぞれに、お好みのポートレートを眼前に描かれたし。
(2’33”) - ポートレート (S・マイヤーズ)
スタンリー・マイヤーズのオリジナル。この人はなかなかのロマンティストであるらしい。お聴きのみなさんそれぞれに、お好みのポートレートを眼前に描かれたし。
(2’33”) - フロム・ザ・トップ (J・S・バッハ ~ S・マイヤーズ編)
ふたたび《平均律》の、こんどは第2(下) 巻から前奏曲第12番ヘ短調。リズムをぐっとポップにしてあるが、それでも“バッハしさ”ははっきり残るからおもしろいものだ。中間としめくくりに出るジョンのソロはさすがの味。
(3’45”) - 浮浪者 (S・マイヤーズ)
おそらく歌詞のついた歌の曲じゃなかろうかと思うが、筆者には調べもつかずお許しいただく。マイヤーズはここでもさわやかな叙情味を見せ、ジョンのクリスタル・トーンがいとも心地よくひびいてくる。
(3’59”) - 羊は安らかに草を喰まん (J・S・バッハ ~ R・ハーヴェイ編)
バッハの世俗カンタータBWV(シュミーダーによるバッハ作品整理番号)208、《わが楽しみ社元気な狩のみ》(作曲年代1716)のなかで、ソプラノがこの伸びやかで美しいアリアをうたう。牧歌的な趣 をリコーダーで強調したのは素直なアイディア、そういえば編曲者は当アルバムのリコーダー奏者だ。なお、この曲はさきにUSAのクリストファー・パークニングがギター・ソロ曲として取上げている。
(3’56”)
第2面
- トラヴェリング (J・S・バッハ ~ S・マイヤーズ & F・モンクマン編曲)
原曲はチェンバロのための《フランス組曲第5番ト長調》から終楽章のジーグ。16分の12拍子で、はじめの1小節に主音(ド)が4回繰返されるこのジーグの主題はとても印象的だが、マイヤーズよびフランシス・モンクマン(うるさい人かしら?このアルバムのキーボード担当)のアレンジ ─ いや、レーベルには“recomposed”つまり再創作とある ─ はジャズ風の即興的センスに満ちみちてたのしい。タッチの歯切れがよく、リズムの乗りもいいジョンは、そこへ見事にとけこんでいる。
(5’28”) - 川の神 (S・マイヤーズ)
ここでまた、マイヤーズのロマンを聴こう。昔むかし、半獣の牧神パンは、美しい一人のニンフを追いかけた。彼女は水辺へ追いつめられ、進退きわまってひともとの芦に姿を変えた。パンは未練からその芦を切り、横に束ねて、音階の出る笛を作った…エードリアン・ブレットの吹くパン・パイプが、ジョンのギターと、しっとり潤った対話を繰りひろげる。
(2’48”) - J・S・B (J・S・バッハ ~ S・マイヤーズ編)
頭文字だけ並べられてはカレー粉など思い出してしまうが、流れ出る音楽はヨハン・セバスティアン・バッハの手になるもっとも名高い楽曲のひとつ《管弦楽組曲第2番ロ短調》の終曲、《バディヌリ》にほかならぬ。ちなみに《バディヌリ》は舞曲の形式名ではなくて、“冗談”とか“遊び”のことだそうだ。とすれば、これこそ正統的演奏かしらん。ジョンがデーモニッシュな低音をひびかせたりして、気持よくやっている。
(2’14”) - 愛のロマンス (スペイン伝承曲 ~ S・マイヤーズ編)
ファンタスティックな序奏で何かと思えば、めずらしや!ジョン・ウィリアムスのつまびく“禁じられた遊び”が、B面の尻から2番目という奥床しいところに隠してあった。アレンジと演奏もほんとに奥床しくありませんか。
(2’42”) - G線上のアリア (スペイン伝承曲 ~ S・マイヤーズ編)
もとは《管楽弦組曲第3番》の第2楽章、だが一般にはヴィルへルミのヴァイオリン独奏用編曲で、G線だけをジーンと唸らせながらひくのが多く耳に入る。ギターにもG線はあるけれど(第3弦)、ここではまさかそれ1本でメロディをひいているわけでもなかろう。 何はともあれ原曲の荘麗な安らかさをよく生かした演奏だ。
(3’49”)
濱田滋郎
YouTube のジョン・ウィリアムズ – トピックにこのアルバムもありますよ!!
最初からノリノリになったり、しっとりしたり、上がる曲も心落ち着けたい曲も混じった曲集です
とてもいいアルバムなので聴いてみるといいですよ!!


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